今回の掲載写真は、年初に訪れた北欧の某有名プリントメーカーの工場です。あちらの大学の 先生の取り計らいで、短期間滞在ながら密度の濃い視察となりました。
日本の工場とヨーロッパの工場には歴然とした産業システムの違いがあります。欧州では殆どのファブリクスブランドは自社工場を持ちますが、日本では飽くまでも問屋というシステムの下請けに過ぎません。伝統ある大きな問屋でさえ、自社工場が立ち行かなくなると廃業させます。今回の写真のように、若者が自社製品を着こなし格好良く仕事をするといったことは皆無です。
2〜3年前から生産現場(工場)の人材育成教育が始まり、幾つかの産地を掛け持ちで教科書作りをしたりスクールの運営などを担当致しております。当然、若者が生産現場で明るく胸を張って仕事ができる環境づくりが目標ですが、殆ど日本の工場は所謂3Kであり人気がありません。しかし、本気で外国製品との差別化を図りたいのであれば、生産現場を格好良くして若者の感性を育む環境づくりが第一だと考えます。
理屈や授業ではなく、環境改善をデザイン的に押し進めることが一番だと思いますが、実にこれが難しいのです。製品が格好良くなるためには、先ず足下からと云うことでしょうか。焦らず、一歩一歩と云うことではあります。