魂の問題はさておき、人間(少なくとも物理的な存在として)の最良の定義は、皮膚(呼吸している!)という界面つまり交通可能の一種の皮膜に包まれた、ほとんどが水でできた柔らかな構造体ということになるだろう。人類にはこれが本能的に分かっていて、もっとも古い美術として刺青があるのはこのためだ。布地つまり隠喩的皮膚に施される刺繍にしてもこの源泉を抜きにして考えることはできないだろう。
根源的なものは、だからこそ今日的でもある。刺繍の伝統に根ざした青谷徳子の縫いだす、自在なかたちの秘密はここにある。
テキスト/本江邦夫
Putting aside the query of soul, the best way to define human being as physical existence might be a structure covered with a kind of soft membrane, both penetrable and interfacial,that is skin (breathing!) and the structure mostly contains water. Human beings themselves intuitively know about this. That is because people have developed tattooing, one of the oldest art forms. Without this origin, could we think about embroidery decorating fabric as the metaphor of a skin. text/Kunio Motoe
青谷 徳子(Noriko Aotani)
略歴:
1986年 東京都出身
2010年 女子美術大学大学院美術研究科修士課程/美術専攻工芸研究領域刺繍コース 修了
現在 女子美術大学芸術学部デザイン・工芸学科工芸専攻/非常勤講師 兼 非常勤助手
個展・グループ展:
2013年4月 個展「青谷徳子展」巷房(銀座)
2012年11月 一般社団法人女子美術大学同窓会企画「刺繡をまなぶ Stitch Art Identity」展出展 (女子美アートミュージアム)
2011年10月 個展「土と朝露と木の葉のレシピ展」GALLERY AB-OVO(下北沢)
2011年8月 個展「青谷徳子展」巷房(銀座)